ごめん。俺、バカで
「一目惚れでもしたのかと思ったわ」


「ひ、一目惚れ!?」



まぁ、近い感覚はあったのかもしれない。
でも、そこに恋愛感情はない。



「つーかお前……」


「ん?」


「初恋もまだだろ?」


「え?」



ヒロの言葉に俺の思考が止まる。


いや、そんなわけ……



「俺、好きな人できたことねぇわ」



……あった。



「だよな」


「なぁ、俺に恋を教えてくれよおおおおお」


「いや、お前うるせぇ。まずサボるぞ」



時計を見れば、ホームルームまであと5分。



「サボ……!?」


「いいから行くぞ」



強引にヒロに腕引っ張られて、席から立つ。



「1時間目の教科書せっかく貸してくれたのに……」


「それよりも大事な話がある」



有無を言わさず、俺を連れて教室を出ていく。



「千愛希ちゃんの好意を無駄にすることよりも大事なことなんてあるのかよ……」



せっかく貸した教科書を机に置いたまま俺がいなくて、千愛希ちゃんが悲しそうな顔をするのがすごく嫌だった。

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