ごめん。俺、バカで
「お前、それ恋だろー。どうせ笹波さんのことでそんなんなるんだろ」


「こ、こい……」



俺の頭にはいままでこの2文字がなかったような気がする。



「なのに振っちゃって、ほんとバカだな」


「いやいやいや!恋とか違うだろ!ただ俺は笑顔が!」



そうだ、違うんだよ。
あの日見た笑顔を見たいだけ。
見たいのになかなか見れないから気になって。



「笑顔?」


「スタジオで見た笑顔、なかなか見せてくれないから……あの笑顔すげぇ綺麗だったから」


「その笑顔、俺か見せてもらおうかなー」



急に鼻歌を歌いながら、そんなことを言い出す。



「なんで、ヒロが!そんなヒロが構い始めたらヒロに惚れて傷つくだろ!」



ヒロと関わったら、みんなすぐにヒロに惚れる。
きっと、千愛希ちゃんだってそうだ。
でも、ヒロが好きなのは心結ちゃんだから。



「お前、そこかよ。ほんとバカだな」


「バカってなんだよ」


「俺がその笹波さんの綺麗な笑顔見てもいいのかよ」



ヒロの言葉になにかが胸に刺さった気がした。

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