ごめん。俺、バカで
「……嫌だ」



気がつけば、ヒロにそんな風に答えていた。



「答え出てんじゃん」


「……え?」


「笹波さんの笑顔、他のやつに見せたくないんだろ?」



ヒロの言葉に首を縦に振る。

俺、千愛希ちゃんの笑顔は誰にも見てほしない。
あの綺麗な笑顔は俺だけが知っていたい。
千愛希ちゃんが可愛いなんて誰も気が付かなくていいんだ。



「ってか、一時間目終わったな」



キーコーンカーンコーンという、ベルと共にヒロが立ち上がる。



「ちょっと来いよ」



ヒロが歩き出すので俺も後から続く。



「どこ行くんだよ」


「いいから」



ついて行けば、何ら変わらないいつもの教室前の廊下。



「なんだよ、教室じゃん」



ヒロに文句を言おうとしたとき、隣のクラスのドアの前に千愛希ちゃんがいるのが見えた。



「千愛希ちゃん?」


「いまきっと見たくないもの見るから」


「は?」



なんの予想かわからないヒロの言葉に首を傾げる。

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