ごめん。俺、バカで
「諦めないと……辛いだけでしょ」


「俺が千愛希ちゃんのこと好きでも?」


「……え?」



バッと顔を上げた千愛希ちゃの顔はとても赤くて。

そんな赤い顔をした千愛希ちゃんもやっぱり可愛かった。



「俺さ、千愛希ちゃんのことあのスタジオで見た時から好きなんだと思う」


「……は?」



眉間にシワが寄っていく。

まぁ、昨日振られた相手にこんなこと言われても信じられないよな。



「ごめんね、俺。バカで」


「バカって……」


「バカだからさ、恋がどういうものかもわかんなくて。でも気がついたら、千愛希ちゃんの笑顔を独り占めしたいって思ってたんだ」



素直な気持ちを今、伝える。
後悔はしたくないから。



「本当……?」



涙をたくさん溜めた目をぱちくりと何度もしている千愛希ちゃんがたまなく愛しい。



「こんなこと嘘でいわない。好きだよ、千愛希ちゃん」


「嬉しい……」



優しい笑顔で、一筋の涙を流す千愛希ちゃんをそっと抱きしめる。

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