熱に堕ちて
蒼鳳side


「蒼鳳(あお)ってばー自転車なんだからもっと早くこいでよ!」

コイツは水元仁海(みずもとひとみ)。大学4年。俺の自転車に乗せて一緒に大学に行くのが日課。

「なんだよそれ。乗せてもらってありがたいと思え」
「そりゃあ両親が生きていたら起こしてもらえてたけどー、一人暮らしなんだから仕方ないじゃない?」
「まー別にいいけどさ…」
「いやーお隣さん同士はいいねぇー♪」

「…隣同士でもお前じゃなかったらこんなことしねーよ」

「…蒼鳳君それはどういう意味なのかなー?♡」
「…スピード上げるぞオラッ!」
シャーッ!
「ぎゃーっ!ちょっと!危ないでしょー!」



「…っしょっと。すげー!もう着いたぞ。記録更新じゃね?」
「もう!安全運転でお願いします!」
「早くこげっつったん誰だよw」

「…あのさ、お前今日講義終わったらバイトでそれまで時間あるよな?一緒にどっかお茶でもしねぇ?」
「あー…ごめん。今日も約束してるから!…泳斗と。」


ほらな。


あんな馬鹿男のところに行く馬鹿女を好きな俺も…馬鹿で嫌になる。


キミはまた今日もあんな男のところへ行く。

あんな男に抱かれに。



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