熱に堕ちて
観覧車の中で蒼鳳は仁海の隣に座った。
「気付いてると思うけど、俺、仁海のこと好きだよ。」
彼は俯きながらそう言った。
俯きながら言ったのがなんとなく不思議だった。
「…うん」
「…けどそんなこと言われなくてもわかってただろ?」
「…うん」
「…本当に伝えたい事がある」
そう言って彼の少し伸びた前髪が私のまぶたに触れた。
幼い頃の記憶が少しづつ蘇る。
泳斗のせいで消されていた記憶。
何も考えていなかった。
計算も。醜い嫉妬も。
純粋な気持ち。
唇と唇が優しく重なるこの感覚。
懐かしいよ。
そっか。
この人は
初恋の人だった。
「……」
「…愛してる」