秘密の計画 ~襲撃王女への逆襲~ (次期王の花嫁番外編)
 ばたばたと前から走ってくるセーラを見つけてマキセは気軽に声をかける。
「お姫さん、おはよう。どうだった?」
「…つ…」
 言いよどむセーラにマキセは笑いを堪えながら話す。
「クーデノムの寝起き、悪かっただろ?」
「た、タチが悪すぎるわっ!」
 捨て台詞のように言って、駆け抜けていくセーラを笑いながら見送り、そのままクーデノムの部屋へと入る。
「よ、おはよーさん」
 ベッドの上で座っているクーデノムにマキセは笑みを浮かべながら声をかける。
「姫さん驚いていたぞ」
「お前がけしかけたんだろ」
 寝起きが悪い……目覚めが悪いのではなく、いつも真面目で誠実な彼の理性がまだ働いていない状態。
 クーデノムを取り巻いている穏やかな雰囲気が消えた感じなのだが、妙な色気も醸し出して見る者を魅了する。
 何度も酒を酌み交わしてクーデノムの部屋に泊まったことのあるマキセだからこそ知っている。
 本人も自覚しているが、すっきり目覚める方法を見つけ出す以外、解決しない問題だったりする。
「『次は負けない』と捨て台詞言われたよ」
「何をしてくるのか、楽しみだな」
「襲われたら、正当防衛は有りですよね」
「…過剰じゃなければな」
 くすくすくすと笑い声をあげ、クーデノムも調子を取り戻す。

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