王族の婚姻をなんだと思っていますか!
***
どうにか深緑のドレスで居間に向かうと、そこには誰もいなかった。
「王弟殿下は、旦那様がロングギャラリーにお誘いされまして、そちらに向かわれましたよ」
「え。あんなとこに?」
そこにいた執事の言葉に、顔をしかめる。
ロングギャラリーなんて行ってどうするんだろ。
いかついご先祖様の肖像画があるだけで、王弟殿下に見てもらうような芸術品はないと思うんだけど……。
不思議に思いながらロングギャラリーに行くと、ボサボサ頭の父上の隣に、黄金色の髪をした長身の後ろ姿が見えた。
王族の髪って、どうして遠目にもあんなに光沢のある金髪なんだろうな。
雪が溶けた春の祭りには、必ず王族が城のバルコニーに立って挨拶をするから、あの色は幼い頃から記憶にある。
この国に住む人で、知らない人も少ないんだろうなぁ。
昔は赤毛が嫌で、金色の髪に憧れていた気もする。
そして、ゆっくりとふたりに近づきながら、王弟殿下の後ろ姿を眺めた。
ちょっと癖のある柔らかそうな黄金。大男の父上にも負けてない身長は、たぶん190センチはあるよね。
近衛兵団の黒い制服の腕には、団長である証の金竜の刺繍。
ふっと彼は振り返り、私を見つけると彼は少しだけ困ったような表情を浮かべた。
王族は皆美形って噂に聞くけど……王弟殿下って、無駄に整った顔をしてる。
どうにか深緑のドレスで居間に向かうと、そこには誰もいなかった。
「王弟殿下は、旦那様がロングギャラリーにお誘いされまして、そちらに向かわれましたよ」
「え。あんなとこに?」
そこにいた執事の言葉に、顔をしかめる。
ロングギャラリーなんて行ってどうするんだろ。
いかついご先祖様の肖像画があるだけで、王弟殿下に見てもらうような芸術品はないと思うんだけど……。
不思議に思いながらロングギャラリーに行くと、ボサボサ頭の父上の隣に、黄金色の髪をした長身の後ろ姿が見えた。
王族の髪って、どうして遠目にもあんなに光沢のある金髪なんだろうな。
雪が溶けた春の祭りには、必ず王族が城のバルコニーに立って挨拶をするから、あの色は幼い頃から記憶にある。
この国に住む人で、知らない人も少ないんだろうなぁ。
昔は赤毛が嫌で、金色の髪に憧れていた気もする。
そして、ゆっくりとふたりに近づきながら、王弟殿下の後ろ姿を眺めた。
ちょっと癖のある柔らかそうな黄金。大男の父上にも負けてない身長は、たぶん190センチはあるよね。
近衛兵団の黒い制服の腕には、団長である証の金竜の刺繍。
ふっと彼は振り返り、私を見つけると彼は少しだけ困ったような表情を浮かべた。
王族は皆美形って噂に聞くけど……王弟殿下って、無駄に整った顔をしてる。