王族の婚姻をなんだと思っていますか!
口をポカーンと開けたまま父上を見ると、苦虫噛みしめ中。


……これは、父上はなにかに気づいていたってこと?


ちょっと待って、王位継承権は第四位だとしてもさ、王族の求婚って、事前に根回しがあるのが普通じゃないの?

だいたい王弟殿下は夜会の類いも滅多に出ない上に、私も滅多に招待受けないし、会話にもなっていないような話を、この間の夜、初めてしただけ。

それなのに、どうして私に求婚と同じ行動をとるの?

わ、わけがわからんっ!


頭を抱えてパニックになりそうな思考を、一生懸命なだめながら王弟殿下を見下ろす。

「王弟殿下……ご婚約者様がいませんでしたか?」

まだ未婚なのは知ってるけど、王族だもん、確か、小さな時からいるはずだよね?

「7才の頃にはおりましたが、彼女の国は政治的になくなりました。今は、隣国の王の愛妾になったはずです」

めちゃくちゃいい笑顔で言われた。

うん。怖いから。政治的にって、それって戦で負けたから、とか言わない?

てか、王弟殿下が7才の時には、私はまだ生まれてないから知らないけど、あちこち戦争していたって聞くしなぁ。

セレスティアって、まわりの険しい山谷が自然と要塞のようになっているから、あまり巻き込まれたことはないけど。
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