王族の婚姻をなんだと思っていますか!
王弟殿下
***
なにをやってるんだろう、あの人たち。
目の前では、猛烈に嬉しそうな父上と、無表情なウォル殿下。
模擬刀を持ち、ガンガン打ち合ってる。
間違いじゃなきゃ、ここは騎士団の演習場で、騎士が切磋琢磨する場所だよね。
普通、騎士団の団長と、近衛兵団の団長が、試合をするところじゃないと思うんだけど。
騎士団の人たちは、怖いものでも見るように遠巻きにしてる。
「やあ、今日も楽しそうですね」
私の隣では、お供についてきた彼が、ニッコニコとふたりの動きを追っていた。
うちの父上はともかく、ウォル殿下が楽しそうにしてるとは見えない。
「何度か、こういったことが?」
聞いてみると、彼は眉を上げて私を見下ろした。
「これは侯爵令嬢、失礼いたしました。話をするのはこれが初めてになりますね。私はデートルードと申します。みんなルドと呼びますから、そう呼んでくださって構いません」
ルドさんは言いながら、気取ったしぐさで一礼する。
それから、ぴょこんと体勢を直すと、くったくない笑顔を振り撒いた。
「まぁ、だいたい殿下は“あのバカ”とか呼ぶそうですがね。母が殿下の乳母を務めた関係で、運よく殿下の乳兄弟になりまして、ついでに殿下の親衛隊もしております」
……ああそう。うん。よくしゃべるな、この人。
なにをやってるんだろう、あの人たち。
目の前では、猛烈に嬉しそうな父上と、無表情なウォル殿下。
模擬刀を持ち、ガンガン打ち合ってる。
間違いじゃなきゃ、ここは騎士団の演習場で、騎士が切磋琢磨する場所だよね。
普通、騎士団の団長と、近衛兵団の団長が、試合をするところじゃないと思うんだけど。
騎士団の人たちは、怖いものでも見るように遠巻きにしてる。
「やあ、今日も楽しそうですね」
私の隣では、お供についてきた彼が、ニッコニコとふたりの動きを追っていた。
うちの父上はともかく、ウォル殿下が楽しそうにしてるとは見えない。
「何度か、こういったことが?」
聞いてみると、彼は眉を上げて私を見下ろした。
「これは侯爵令嬢、失礼いたしました。話をするのはこれが初めてになりますね。私はデートルードと申します。みんなルドと呼びますから、そう呼んでくださって構いません」
ルドさんは言いながら、気取ったしぐさで一礼する。
それから、ぴょこんと体勢を直すと、くったくない笑顔を振り撒いた。
「まぁ、だいたい殿下は“あのバカ”とか呼ぶそうですがね。母が殿下の乳母を務めた関係で、運よく殿下の乳兄弟になりまして、ついでに殿下の親衛隊もしております」
……ああそう。うん。よくしゃべるな、この人。