王族の婚姻をなんだと思っていますか!
悔しそうな父上と、どこか誇らしげなウォル殿下に、あんぐりと口を開けた。


模擬刀を落としているのは、なんとあの父上だ。


「うっわ~。信じらんない。あの山親父を打ち負かすって、ウォル殿下ってむちゃくちゃ強いぃ~」

思わず素で呟いたら、隣から吹き出すような音が聞こえたけど、この際無視だ。

まわりを見回すと、騎士団の皆は手を叩いて喜んでいる人もいれば、悲痛な顔をしてる人もいる。

うん。あれは勝ち負けを賭博していたね。

ウォル殿下と父上は近づいて、晴れやかに握手してる……父上の厳めしい顔つきは相変わらずだけど。

父上が観覧席を振り返り、私を見つけるとますます厳つい顔をする。

「ノーラ。昼飯だ」

場内に響き渡る程の、大きい怒鳴り声をあげた。









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