王族の婚姻をなんだと思っていますか!
でも、ウォル殿下は王族だもんね。

普通に会話している殿下を眺め、それは彼にとっては当たり前なんだって思う。

うちの父上も侯爵だけど、なんか異世界を垣間見している気分になるなぁ。

ぼんやりと彼らの会話を聞き流しつつ、そうして見渡した会場に、仲のよかった侯爵令嬢三姉妹が片隅に集まっているのを見つけた。

できれば、あっちの中に紛れたいな。おじ様たちのお話は、政治過ぎて私は冷や汗ものだし。

……私、聞いちゃってもいいの?的な。

「……ご友人ですか?」

小さく殿下に話しかけられ、上の空だったことがバレてしまったらしい。

頬を染めて頷くと、そっと手を放された。

「私たちの話を聞いているだけではつまらないでしょう。いってらっしゃい。すぐ迎えに行きますから」

すぐ迎えにこなくてもいいけど、そう言ってもらえるのは嬉しい。

「ありがとうございます」

そう言って、まわりの方たちにも挨拶すると、ウキウキしながら彼女たちの元に向かった。

彼女たちもほとんど結婚しているし、私は夜会の類いに出席しないから、本当に久しぶりなんだもん。

「ノーラ! 久しぶりですわね!」

侯爵令嬢……もとい、確か公爵家に嫁いだ長女のエミリアがにこやかに私を出迎えてくれる。

「しかも、王弟殿下にエスコートされてらっしゃるなんて! いつの間にそのようなことに?」

……エミリアらしい。単刀直入過ぎて笑うしかないんだけど。
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