王族の婚姻をなんだと思っていますか!
「……あの。毎日のように、一介の貴族の娘が内宮に入り込むのはいかがなものかと思うのですが」

上目づかいの私に、変わらぬ爽やか笑顔のウォル殿下。

「舞踏会では話せなかったと文句を言われましてね。王女があなたの家に行くよりはよっぽどマシでしょう」

当たり前である。成人前の王女がうちに来るなど大変……って言うより、問題だ。

諦めて騎士団の詰所を出ると、殿下の馬に相乗りさせて頂いて、いつものように暖かい部屋に通される。

通された途端、目に入った光景にギョッとして立ち止まった。

ロイヤルゴールドの金色の髪の人が3人。うちひとりはブラウンの髪色。

言わずと知れた国王夫妻、それから王太子殿下と王女殿下。

なんのサプライズですかこれは!

半泣きになりつつウォル殿下を見ると、彼は彼で『あれ~。おかしいな?』と言うようなに首を傾げていた。

「兄上までくるとは、さすがに聞いていなかったのですが……」

「騎士団長は、私の古くからの友人なのでな。お前が彼の娘をたぶらかしていないか、様子を見にきた」

渋い低い声にウォル殿下は苦笑する。

「ひどいですね。どちらかというと、私の方がたぶらかされていると申しますか……お預けされているのですが」

ちょ……! 聞き捨てなりませんが!

思わず険しい顔をしたら、甘やかな微笑みが返ってきた。
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