王族の婚姻をなんだと思っていますか!
しばらく黙って見つめあっていたら、彼がふっと目を細めて笑った。
「私が本気ではないと、あなたは気づいていたのですね」
「そうですね。毎回毎回、逃がしてくださっているのには気がついておりました」
あの舞踏会の夜だって、抱きしめられはしたけれど、なんのかんのと言いながら、きっちり何事もなく屋敷まで送ってくれたし……。
ウォル殿下もさ、いい年齢なんだから私なんかに構っていないで、ちゃんとお妃様を探すべきだと思うんだよね。
何が目的なんだろうと考えたら、音もなくウォル殿下が私に近寄ってきていた。
「……っ⁉」
びっくりして目を丸くする私と、微笑みを浮かべたままの殿下。
「あなたは、男の本気を甘く見ていませんか?」
低く響く声。微笑んでいるけれど、笑っていない瞳。
深い海みたいな青い瞳の色は、真冬の空のように薄くも見える。
冷たいほどに鋭くて、だけど、ゾクゾクとしながらも、身体は熱くなってくるのはどうして?
「本気であなたを手に入れてようとしても、怖がらないでいてくださいますか?」
「……ウォル殿下?」
「私が本気になったら、あなたに逃げ場はありませんよ?」
今だって、少ししか逃げ場はないじゃないか。
ほんのちょっと、あなたは逃げ込める場所を用意してくれているだけで、それ以上は遠く離れないようにしてるくせに。
いろいろ諦めてくれない限り、私は解放されないんじゃないかと感じるんですけど。
「私が本気ではないと、あなたは気づいていたのですね」
「そうですね。毎回毎回、逃がしてくださっているのには気がついておりました」
あの舞踏会の夜だって、抱きしめられはしたけれど、なんのかんのと言いながら、きっちり何事もなく屋敷まで送ってくれたし……。
ウォル殿下もさ、いい年齢なんだから私なんかに構っていないで、ちゃんとお妃様を探すべきだと思うんだよね。
何が目的なんだろうと考えたら、音もなくウォル殿下が私に近寄ってきていた。
「……っ⁉」
びっくりして目を丸くする私と、微笑みを浮かべたままの殿下。
「あなたは、男の本気を甘く見ていませんか?」
低く響く声。微笑んでいるけれど、笑っていない瞳。
深い海みたいな青い瞳の色は、真冬の空のように薄くも見える。
冷たいほどに鋭くて、だけど、ゾクゾクとしながらも、身体は熱くなってくるのはどうして?
「本気であなたを手に入れてようとしても、怖がらないでいてくださいますか?」
「……ウォル殿下?」
「私が本気になったら、あなたに逃げ場はありませんよ?」
今だって、少ししか逃げ場はないじゃないか。
ほんのちょっと、あなたは逃げ込める場所を用意してくれているだけで、それ以上は遠く離れないようにしてるくせに。
いろいろ諦めてくれない限り、私は解放されないんじゃないかと感じるんですけど。