王族の婚姻をなんだと思っていますか!
考えていたら、また隣の部屋の人たちが話し始める。

「だいたい、お前がいつまでもいつまでも侯爵令嬢にちょっかいかけてんのが悪いんだろう」

「お前たちだって乗ってきたじゃないか! いい憂さ晴らしだって。そもそも、暴力女がしゃしゃり出てこなかったら、あのおとなしい子爵の娘と結婚でもして、家の中だけで憂さ晴らしできたはずなんだけどな」

その言葉に、ここに来る前のことを思い出した。

この言動からすると、間違いなくカヌー伯爵家の次男坊。

馬鹿じゃないかと馬鹿にしていたけど、本当に馬鹿だったの?

……と、すると、話しているのは、いけすかない取り巻き連中かな。

そう思って、ドアに耳を近づける。

「だからって、王弟殿下に見初められた娘に手を出していたようなもんだろ。気がつけよ、お前も」

「気がつくかよ! だいたい、あの殿下は男好きなんじゃなかったのかよ! あの時のことがきっかけで仕事はキツくなるし、館長は小言を言うようになって、逃げ出したら親から勘当されるって、どんだけだよ!」

あの時って……あれかな。三人で人のこと馬で取り囲んで、チクチク嫌味言ってくれた時のことかな。

それ以外が思い付かないけど、それって自業自得な気がするんだけど。

仕事サボっていたのはそっちだし、サボっていたなら、上司に小言を言われるのは当たり前だよ。

だけど、勘当……って、いろいろあったんだろうけど、すごい。
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