王族の婚姻をなんだと思っていますか!
再び王城にて
***
ウォル殿下は『城に連れて帰る』と言っていたけれど、もちろんそう簡単には許可が下りるわけもない。
そんなたかをくくっていたわけだけど、連れ帰られたのは、城壁のなかにある離宮だった。
『私は普段、ここに住んでいますから、自分の家だと思ってくださって結構です』
そう言った彼に『いや。無理だろ』と、心のツッコミを入れたのは私だけじゃないと思うんだ。
まぁ。それでも、誰かになにかを指図されたり、逐一監視されてる気がしないのは、広さゆえか、あまり人とすれ違わないからだろう。
「……通常の入婚は、あまり教育が行き届いていない娘がするものなの。ノーラは侯爵夫人の教育がしっかりしているみたいですし、問題ないと思うのだけれど」
王城の中に属することに変わりない離宮は、気楽に王族の方々が遊びに来てくれる。
今日も王妃殿下が『美味しいチーズケーキが焼けたの』と、来てくださった。
……てか、入婚もなにも、ウォル殿下とは婚約すらしてないんですが。
もちろん、私と殿下の寝室は別々だ。
私とウォル殿下の寝室の間には、居間のような私室があり、廊下を通らないでも行けるようになっていて、夫婦が使うんじゃないか?的な間取りをしてるけど……。
うん。違うんだ。まだ、違う。
自問自答していると、王妃殿下はティーカップをおろし、慈愛のこもった微笑みを浮かべてくれる。
ウォル殿下は『城に連れて帰る』と言っていたけれど、もちろんそう簡単には許可が下りるわけもない。
そんなたかをくくっていたわけだけど、連れ帰られたのは、城壁のなかにある離宮だった。
『私は普段、ここに住んでいますから、自分の家だと思ってくださって結構です』
そう言った彼に『いや。無理だろ』と、心のツッコミを入れたのは私だけじゃないと思うんだ。
まぁ。それでも、誰かになにかを指図されたり、逐一監視されてる気がしないのは、広さゆえか、あまり人とすれ違わないからだろう。
「……通常の入婚は、あまり教育が行き届いていない娘がするものなの。ノーラは侯爵夫人の教育がしっかりしているみたいですし、問題ないと思うのだけれど」
王城の中に属することに変わりない離宮は、気楽に王族の方々が遊びに来てくれる。
今日も王妃殿下が『美味しいチーズケーキが焼けたの』と、来てくださった。
……てか、入婚もなにも、ウォル殿下とは婚約すらしてないんですが。
もちろん、私と殿下の寝室は別々だ。
私とウォル殿下の寝室の間には、居間のような私室があり、廊下を通らないでも行けるようになっていて、夫婦が使うんじゃないか?的な間取りをしてるけど……。
うん。違うんだ。まだ、違う。
自問自答していると、王妃殿下はティーカップをおろし、慈愛のこもった微笑みを浮かべてくれる。