Moonlit Nightmare



「ーーーー」

私は、彼の目を見て、その奥に映る自分を見て、答える。



「それは、少し違うと思うから」

「違う?」


ヨハンが「何が?」とでも言いたげに目を瞬かせる。

…だって、いくら魔法使いだからといって、自分の命まで魔法任せにするのは、流石に奔放だと思う。


それに…



「人の命っていうのは、限りがあるからこそ充実したものになると思うの。
限りがあるから夢を叶えようと必死に追うし、
限りがあるから人との絆や愛を求めようとする。

それなのに、命を伸ばされてしまっては、人生の面白みに欠けると思わない?」



そう言って笑うと、ヨハンはひどく驚いた顔をしてから、

どこか傷ついたように、顔を歪めた。



「リンネ…気づいてたんですね」

「流石に自分のことだし…。
それに、予感がするの」

「予感?」


問い、返された言葉に、頷く。


「ええ。きっとじきに私に朝日は、訪れなくなるわ」







< 11 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop