Moonlit Nightmare
「ーーーー」
私は、彼の目を見て、その奥に映る自分を見て、答える。
「それは、少し違うと思うから」
「違う?」
ヨハンが「何が?」とでも言いたげに目を瞬かせる。
…だって、いくら魔法使いだからといって、自分の命まで魔法任せにするのは、流石に奔放だと思う。
それに…
「人の命っていうのは、限りがあるからこそ充実したものになると思うの。
限りがあるから夢を叶えようと必死に追うし、
限りがあるから人との絆や愛を求めようとする。
それなのに、命を伸ばされてしまっては、人生の面白みに欠けると思わない?」
そう言って笑うと、ヨハンはひどく驚いた顔をしてから、
どこか傷ついたように、顔を歪めた。
「リンネ…気づいてたんですね」
「流石に自分のことだし…。
それに、予感がするの」
「予感?」
問い、返された言葉に、頷く。
「ええ。きっとじきに私に朝日は、訪れなくなるわ」