Moonlit Nightmare
こんなタイミングで言うのもおかしいってわかってはいるけれど、でも、ずっと気になっていたのも本当で。
ニコリと笑みを見せたヨハンは、すっと頭から手を離した。
「……なんか言いましたー?」
……こいつ……。
「今すぐ耳鼻科へ行くことをおすすめするわ」
「え?服が似合いすぎてかっこいい?いや〜それほどでも!」
「うるさい黙って。」
人が訊いているっていうのに、この態度は何なのかしら。
おかげで話が逸れてしまったわ。
「…そうじゃなくて、服がそれしかないのなら屋敷のを貸すと言っているの。
使用人にあなたと同じ背丈の人がいたかはわからないけれど……いくらか余りはあるから、」
「いえ、結構です。」
「え……」
言い切る前に断られて、用意した言葉が間の抜けた呟きとなって消える。
ぽかんと口を開けたまま固まる私に、ヨハンは遠慮がちな笑みを見せた。
「これは仕事着のようなものなので…他の服じゃ、ダメなんです。」
「……………」
仕事着?これが??
しかも、こんな子供が仕事って……。
「リンネ、今すごく失礼なこと考えませんでした?」
「あら、何のことだか皆目見当がつかないわ」