Moonlit Nightmare
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それから幾日か経って。
あの日から今日まで、ヨハンは変わらず私に会いに来て、あの青い花と白い花の冠を渡して、煌めく空へと、連れ出してくれた。
…そう、ヨハンは変わらない。
変わったのは………私。
「リンネ、大丈夫ですか?」
「……ええ、…大丈夫よ」
『なんて、嘘だけど。』を呑み込んで、私は笑う。
ここ数日で、私の身体はものすごいスピードで悪化していった。
大丈夫、なんて、嘘。
昨日だって、起き上がるのがやっとだったくせに、無理をして平常を装って。
…でも、ヨハンに心配だけは、かけたくない。
怠いと悲鳴をあげる身体を無理に起こそうと腕に力を込めるとほぼ同時に、ヨハンがあの厚底の硬い靴を脱いで、部屋に滑り込む。
「ヨハ…
「しぃー、誰か来ちゃったらどうするんですか。もう少しボリューム落としてください」
「…………、」
大人しく口を紡ぐ私に、「いい子ですね」なんて言ってヨハンは笑う。
子供扱いなんて…。私ももう立派なレディなのよ?
腹立たしいことこの上ないわ。
ムスッと膨れてみせると、ヨハンは吹き出して手を差し出す。
「ほら、行きましょう」
「……ええ……」