Moonlit Nightmare
どうしよう、と内心焦りつつ震えを隠して手を差し出す。
…どうしよう、このままでは、私が不調であることが、バレてしまうわ。
そうなったらきっと、ヨハンは私を外へは連れ出してくれなくなってしまう気がする。
そう思って一瞬躊躇った指先を、彼は見逃さなかった。
「リンネ?」
「っ、…」
呼びかけられて、ビクリと肩が跳ねる。
どうしよう。きっとヨハンは、不思議に思ってる。
あれだけ外に出たがった私が、躊躇うだなんて。
でも、この手を取ればーーー………
ぐ、と言葉に詰まった、その時。
ーーーピシャーーン!!
「きゃあっ!」
空が真っ白に光って、秒も経たないうちに、耳をつんざく轟音が響き渡る。
地面が一瞬揺れて、電気がバチバチと瞬電を繰り返す。
それを合図にしたかのように、ザァアーーと激しい音を立てて雨が降り出した。
窓を振り返って、ヨハンがため息を吐く。
「あーあ、雨…というか、嵐ですね。雷、近くに落ちたかも。風も急に出て来ましたし…。」
「え、ええ……」