Moonlit Nightmare
♦︎☆♦︎
ザァァアーーー………
「ん……」
パチリ、と。雨の音で覚醒する。
今は…何時??
ぐるりと見回すと、もうヨハンの姿はなくなっていた。
…帰ったのかしら。
この、雨の中を?
彼ならやりかねない。いつも、ふわふわヘラヘラしている人だから。
でも、それで風邪なんかひかれたら困るわ。
明日の私の相手は、一体誰がするというの。
「ーーーー」
「ーーーーー」
隣の部屋から聞こえてくる微かな声に、眉を寄せる。
きっと先程の客人を、暁が上げたのでしょう。
それにしたって騒がしい客人だわ。
一体こんな夜中まで何をそんなに大声で会話する必要があるのかしら。
次からは一番離れの部屋から招待しなさいと、暁に言いつけておかなくては。
「……って、この声…」
耳を澄まして、気がつく。
客人と会話している誰か。てっきり2人訪ねて来たのかと思っていたけれど……
この声、私、知ってる。
ついさっき、ここで聞いた声。
毎日私を連れ出してくれる、あの声。
「……ヨハン…??」
呟いて真っ先に思い浮かぶのは、あの複雑に歪んだ顔。
『嫌な予感』…ヨハンが何気なく言った言葉だと思いたい…けど。
ぐっ、と力を入れて、ベッドから起き上がる。
寝起きで乱れた髪も整えず、素足のまま。