Moonlit Nightmare
「……ん…今、何時………?」
思い瞼を無理矢理持ち上げれば、カーテン越しの空は真っ暗だった。
壁にかかる時計の短針は、もうそろそろ9を指す頃。
ふぅ…と息をついて、仰向けのまま再び目を閉じる。
だけど、頭はやけに冴え渡っていて。
あの言葉の真意は、なんだったの。
そして、あなたの正体は……
「……ヨハン」
小さく、呟く。
「……っ、ヨハン…!!」
途端、閉まっていたはずの窓から強風が入り込んで。
バサバサとたなびくカーテンの隙間から、見慣れたあの銀髪が煌めく。
「ーーお迎えにあがりました…なんて、そんなありきたりなこと、言うと思います?」
出会った時と同じように、月を背負って彼は笑う。
出会いの時よりも欠けた月の下、
出会いの時よりも切なげな笑顔で。
「……うるさい、格好つけても無駄…」
彼と同じように私も笑おうと試みるけれど、笑みより先に溢れるのは涙で。
嗚咽が混じらないように、唇を噛みしめる。