Moonlit Nightmare
バタンと扉を閉めた途端、涙がボロボロと零れ落ちる。
ヨハン…あなたは、これをくれた時から、こうなることを望んでいたのね。
思い出されるのは、歪んだ笑顔と、
『生きて』の約束。
最後に触れた指先と、唇。
忘れないで…なんて。
どうやったって、忘れられないわよ。
今だって、あなたのことを思い出して涙が出るほど、胸が苦しい。
『遠い』なんて、嘘。
この命は、あなたから貰ったもの。
あなたは、これからもずっと、共にいてくれる。
大丈夫。忘れない。忘れないわ。
窓を閉める。カーテンは、そのまま。
枕元に花かんむりを置いて、ベッドに潜り込む。
「おやすみ…ヨハン」
電気を消して、目を閉じる。
青白い月明かりが、暗い部屋を仄かに照らしていた。
~fin.