硝子の靴に口づけを
神の黄昏
神は存在するのだろうか。
もし、存在するのなら。
何故人は平等ではないのだろうか。
もし、存在するのなら。
何故人の願いが叶わないのだろうか。
何故。全員が幸せになることが出来ないのだろうか。
"少女の嘆き"
とある時代の とある町。
賑やかな表通りとは反対に、静まった裏通りに少女は存在していました。
建物に寄りかかり座りこんでいるその姿は、人と呼ぶより人形と呼ぶ方があっているほど、生命を感じませんでした。
少女の心は、壊れかけていたのです。
少女に一体何があったのでしょうか。
一体何が少女をここまで追い詰めたのでしょうか。
答えは簡単。
大切の人たちに裏切られただけのこと。
空と大地、生と死の様にこの世界には陰と陽がある。
人間はとても脆い生き物だから。
人間はとっても、とっても脆い生き物だから。
人間は、陰へと傾きやすいだけのこと。
少女の周りにはそんな人間が多かっただけのこと。
家族が生きていくうえで、末っ子だった少女がいらなくなってしまっただけのこと。
友人たちが捨てられた少女と、友人という関係を持ち続けたくなかっただけのこと。
それは、人の正当防衛。
みんな、酷く脆かったから、少女を気にすることが出来なかった。
だから少女の心が壊れ始めただけのこと。
でもこれは酷いことでも辛いことでもない。
こんなこと、あって当たり前の世界なのだから。
酷いことでも、辛いことでもないのだ。
人が、どんなに幸せを願おうとも、叶うことは稀なこと。
みんなが幸せになれるなんて
有り得ないことなのだから。
そんな現実世界の中、少女は確実に壊れ始めていた。
ゆっくりと音をたてて。
「助けて・・・」
壊れる瞬間、少女は小さく呟いた。誰へ向けてでもない懇願。
まさかその言葉が届くとは、思わなかった。
「んんー?どうしたんだ、こんな所で。」
しかし、それは確かにある人物へと届いていたのだ。