硝子の靴に口づけを
"神の黄昏"
「えっ・・・・・・?」
少女は固まった。
「え?・・・だって・・・神様なんでしょ?」
少女は諦めなかった。もしかしたら聞き間違いかもしれない。
少女は、もう一度問う。
しかし返ってきたのは、ただ一言。
「無理だ。」
「・・・え?・・なんで?な・・・・だって・・神様なんでしょう?」
少女はひどく動揺していた。
「お前は理解しなければいけないよ。」
放心状態の少女の瞳を見据えながら、神は語り始めた。
「神は、無知で、無力なのだよ。全知全能ではない。全知全能の神とは、人がそうであって欲しいという願いなのだ。実際は、ただ存在しているだけ。
そう、力なんて持ち合わせてなどいない。」
少女は焦点の合わない瞳で問いかけた。
「ただ、そこにいるしか・・・出来ないの?」
その声には理解と悲しみが混ざっていた。
「お前は、理解しなければいけない。ただ存在することに、どれほどの価値があるのかを。辛いことがあるかもしれない、悲しいことがあるかもしれない。
それでも俺はお前を独りには決してさせない。お前は、独りではないのだよ?」
神は微笑んだ。
「お前に俺の羽をあげよう。これを見る度、思い出すんだ。神という存在を。お前が頑張っている姿を俺はずっと見てるから。」
暖かな手が少女に羽を手渡した。
「さぁ!立ち上がれ!」