硝子の靴に口づけを
吸血鬼の愛し方
私の手の甲に残るは赤い痕。
昨夜のことだった。
突然、私の手を掴み
強引に己の唇を寄せた。
それは甘いものなんかじゃかくて、
「噛まれたんだけど。見てよ、腫れてる。」
心底迷惑そうに綾音は唸りながら言った。
「おお、見事に腫れてんな。なに、愛されてんじゃん。」
心底楽しそうに遥は言った。
現在時刻は朝。
自分たち同様、学校へ向かう生徒たちで道は埋め尽くされている。
「コンビニに行った帰りに会ったんだろ?その変態さんに。だからいつも言ってんだろうが、夜出かけるときは俺に言え。家隣なんだから。」
「幼馴染でも、気を使うの。だって深夜2時よ?」
「なんでそんな時間に出歩くんだよ。」
「体が糖分を求めてたの。」
「太るぞ。」
「上等。」
昨夜、コンビニから帰る途中のことだった。
いきなり腕を掴まれ塀に体を叩きつけられた。
最悪な状況を想像したが、予想に反し、右手をかみつかれただけに終わった。
「そもそも、そこまでする度胸があるなら襲えよ。」
「襲ってほしかったわけ?」
「まさか。でも、手を噛むだけならさぁ・・・。」
「本当はもっとしたいことがあったけど、出来なかったんじゃない?」
「・・・え?」
道には生徒が溢れている。
にも関わらず、何故か昨日の恐怖が脳裏をよぎった。
まるで、自分と相手しか存在しないような。
相手に取り込まれてしまうような。
そんな 感覚
昨夜のことだった。
突然、私の手を掴み
強引に己の唇を寄せた。
それは甘いものなんかじゃかくて、
「噛まれたんだけど。見てよ、腫れてる。」
心底迷惑そうに綾音は唸りながら言った。
「おお、見事に腫れてんな。なに、愛されてんじゃん。」
心底楽しそうに遥は言った。
現在時刻は朝。
自分たち同様、学校へ向かう生徒たちで道は埋め尽くされている。
「コンビニに行った帰りに会ったんだろ?その変態さんに。だからいつも言ってんだろうが、夜出かけるときは俺に言え。家隣なんだから。」
「幼馴染でも、気を使うの。だって深夜2時よ?」
「なんでそんな時間に出歩くんだよ。」
「体が糖分を求めてたの。」
「太るぞ。」
「上等。」
昨夜、コンビニから帰る途中のことだった。
いきなり腕を掴まれ塀に体を叩きつけられた。
最悪な状況を想像したが、予想に反し、右手をかみつかれただけに終わった。
「そもそも、そこまでする度胸があるなら襲えよ。」
「襲ってほしかったわけ?」
「まさか。でも、手を噛むだけならさぁ・・・。」
「本当はもっとしたいことがあったけど、出来なかったんじゃない?」
「・・・え?」
道には生徒が溢れている。
にも関わらず、何故か昨日の恐怖が脳裏をよぎった。
まるで、自分と相手しか存在しないような。
相手に取り込まれてしまうような。
そんな 感覚