君だけをずっと
「そ、彼女。
 藤野、ちょうど彼氏いないだろ?
 実はオレ、中学の時から藤野のこと、いいなって思ってた。
 彼女なら、湿布だって包帯だって好きに巻いてくれたらいいし。」

はぁ!?
ちょっとまって・・・
私のことを、中学の時からいいなって思ってた??


でも
宮澤君の言葉を聞きながら、ほんの少し違和感を感じた。
いつもの宮澤君なら、こんな風に言ったりしない。
そりゃ、怪我を負わせた責任は・・ある・・
だけど、それで彼女って・・・


宮澤君のことを、好きだ嫌いだって見たことない。
まして、彼氏・・なんて・・考えたこと・・ない。

こうちゃん・・・

私の脳裏に、なぜかこうちゃんが浮かんだ。

私が黙って下を向いていたら、
宮澤君が使える右手で、私の頭を上に向かせた。

「別に、藤野をどうこうしたいわけじゃないよ。
 すぐにオレのことを好きにならなくていいから。
 オレのことが嫌いじゃないなら、オレのそばにいてよ。」


切ない宮澤君の表情に
私の胸の中が
”ツン”とした。
私が、私の心が、宮澤君と一緒にいたいって思った。


「わかった。
 私、宮澤君の彼女に、なる。」

気づいたら、そう言ってた。


宮澤君が私をかばって怪我をしたこの日。

私と宮澤君は
カレシカノジョになった。
この判断が、後からツライ結果を生むことになるなんて・・・思いもしないで。
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