君だけをずっと
「さ、中に入ってよ。向こうに行くまで住んでいたんだけど
 三年ぶり?くらいに帰ってきたら、さすがに埃がすごくて・・・
 オレや父さん母さんだけじゃ、ちょっと大変で・・で
 蓮に頼んだってわけなんだ。」

歩きながら、そう話してくれた。

「蓮はオレと家具を移動ね。那美ちゃんと知恵ちゃんは、二階にあるオレの部屋に行って
 もらって、段ボールに入ってる本を本棚に入れてもらって良い?」

手を合わせて、ごめんねのポーズをしながら
孝太郎君は、ホント助かる・・って呟いてた。

孝太郎君に部屋に案内してもらって、
知恵とエプロンを着てマスクをはめて作業に取り掛かる。

「ね、那美。」

「ん?」

「孝太郎君って、なんかいいね~。指示は的確だし~。かっこいいし~。」

「はは! 知恵ってば!!」

知恵と笑いながら話して、孝太郎君の部屋に無造作に置いてある段ボールの中から
本を出していく。
ある程度本を出し終えてから、本棚を拭いてから、本を棚に入れていく。
どんな順番で孝太郎君がしまっていたのかわからないけど、とりあえずジャンル別に置いていく。

宮澤君も本好きだけど、孝太郎君もたくさん本を持っている。

作業を開始して、二時間・・・・

さすがに疲れてきた。

あれ
本が入っていた段ボールに比べて、一回り小さなダンボールが一つだけある。

それには
『孝太郎の』
って書かれてある。
本が入ってた段ボールには、何も書かれてなかったんだけど・・・

これも、開けていいのかな・・・??

気になる・・
知恵に聞こうかな、って思っているうちに
私の手が、勝手に
_______________ビリ__________


 
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