私の恋した誘拐犯【完】
この前のこともあって、その場で考え込んでいると



「あ、ちーちゃん。お風呂上がったの?」



洋くんに気づかれてしまった。



「あ、うん、上がった…」



(でも最近、洋くんなんだか気分悪いみたいだし…)



悪戯はまた今度、と考え直して、髪を乾かすために鏡台の前へ。



「そういえばちーちゃん、明日の文化祭何やるの?」



私の後ろを通ってお風呂場へ向かおうとしていた洋くんが、鏡ごしに問う。



げ、と眉根を寄せた。
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