私の恋した誘拐犯【完】
何も知るはずがない洋くんは、私の表情を見ながら首をかしげている。



「あ、えと…た、大したものじゃないよ…」



「ちーちゃん、俺に嘘は無理だよ」



ニコニコと優しい笑顔を浮かべる洋くんだが、その裏にはなんとも言えないオーラが。



「い、いやっでもほら、洋くんどうせ来ないでしょ!聞いても意味な「で?何やるの?」



ひぃっと肩がすくむ。



(洋くんって優しいけど怖いんだよなぁ)



「…喫茶…」



「え?なに?」



恥ずかしさに声が小さくなってしまう私に、案の定洋くんは聞き返してきた。
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