私の恋した誘拐犯【完】
「な、なんで来るの?文化祭は行かないってこの前…」



「気が変わったんだ、悪い?」



「わ、わわ、悪くは、ない、けど…」



真っ黒な笑顔を見せられ、何も言えなくなる。



洋くんって、こんなに怖い人だったっけ。



「じゃ、お風呂行ってくるね」



「…い、いってらっしゃーい…」



今の私に、きっともう生気は宿ってないだろう。



楽しもうと思っていたはずの文化祭が、こんなことになるなんて。



言わなければよかったという後悔は、後の祭りとして宙に消えて行くのだった。
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