私の恋した誘拐犯【完】
肩をツンツンしてくるキョンタにそう泣きつくと、キョンタは私の顔を見て「うわぁ」と引いていた。



引かれるのも無理はない。



ゲッソリした人が涙と鼻水を垂らしながら、食ってかかる勢いで泣きつくのだから。



「何があったのか知らねーけど、実行委員なんだからしっかりしろよ千織」



「うぅ…」



グスグス鼻水をすする私の肩を、たくちゃんがポンポンと叩く。



「楽しもうって決めたろ」



「…うん…楽しむ…」



「どうせもうやるしかないんだから、楽しんだもん勝ちなんだよ」



たくちゃんの言葉と笑顔には、やるか!と思わせる力がある。
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