私の恋した誘拐犯【完】
「なんて顔してんの。顔洗ってきなさい」



「はぁーい」



顔を洗って、ぱっと目を開けると、窓から見える青空がすっかり秋で。



ちょっと寂しくなる。



「ねえ洋くん」



洋くんが用意してくれた朝ごはんを食べながら、私は洋くんを呼んだ。



「ん?」



洋くんはいつものように、首をかしげて私を見る。



「秋って、なんか寂しいよね」



他愛のない、雑談のようなもの。
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