私の恋した誘拐犯【完】
「莉奈にはお手上げだよ…」



「分かればよろしい。…ま、確かに、好きな人に恥ずかしい姿見られるなんて、たまったもんじゃないね」



「でしょー!?」



さすがの莉奈様は、私の気持ちを分かっていらっしゃる。



「でも」



メイド服に袖を通し始めた莉奈が、言葉を言いかける。



その顔を黙って見つめれば、



「そのせいで何も手につかないなんてこと、やめてよねちぃ…?」



どこかで見た、真っ黒な笑顔がそこにはあった。
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