私の恋した誘拐犯【完】
ひぃっと肩がすくむ。



「綾瀬も言ってたけど、せっかくなんだし楽しもうよ文化祭」



そしていつもの可愛らしい笑顔に戻った莉奈は、



「もうこのクラスでの文化祭は、2度とこないんだから」



ね?と、その優しい手で私の肩を叩いた。



「うん、そうだね」



「よし!じゃ、行こっか!」



もちろん、この姿が恥ずかしくなくなったわけではないけれど。



2度とこない文化祭を存分に楽しむために、必要なことが分かるだけ。



そして莉奈に手を引かれ、更衣室を出た。
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