私の恋した誘拐犯【完】
「お帰りなさいませご主人様!」



一般公開が始まり、ほぼ全員がうまくメイドになりきる中



「お、おおお、おか、おかえりなさい、ませ…えと、ご、ごしゅ…」



「おいおいなんだよこのメイド〜噛み噛みじゃんかーわいー」



私は一向に慣れないでいた。



「と、とりあえずメニュー決まったら呼んでください…」



しょぼん、と明らかに肩を落とす私に、執事の格好をしたたくちゃんが笑いかける。



「元気だせって。何も完璧なメイドばっかじゃなくても、千織はそれを売りにしてきゃいいんだから」



「それ…?」



「うまく接客ができないキャラだよ。それさえも設定にしちゃえば、もう怖いもんナシだろ」



接客ができないことさえもキャラに…?
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