私の恋した誘拐犯【完】
どうでもいいことだけど、洋くんだから話したい。



「夏の暑さからの差だよね…俺も寂しいって感じる」



「そうそう…人肌恋しいっていうか」



うんうん、と頷いていると、なぜか洋くんは笑った。



はて?と今度は私が首をかしげる。



「なーに?」



「ううん、ちーちゃんも、大人っぽいこと考えるようになったなって」



「失礼しちゃう!私だってもう大人だよ!」



もう、と溜め息を一つついて、卵焼きを口に放り込んだ。



ほんのりと甘い、卵焼きの味。
< 14 / 530 >

この作品をシェア

pagetop