私の恋した誘拐犯【完】
「別に不都合なんてことはねーっすよ」



「そっか。ま、いいんだけど…行こっかちーちゃん」



いつもより冷めた言い方をする洋くんに、言い知れぬ不安を抱く。



「う、うん…またねたくちゃん」



「おう」



そしてたくちゃんも、私の目を見ることなく行ってしまった。



(なんなんだよ2人とも…)



「よ、洋くん」



ズンズンと先を歩く洋くんに声をかけるも、どうやら聞こえていないらしい。



いつもは歩幅を合わせてくれるのに。
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