私の恋した誘拐犯【完】
この瞬間は、私の嫌いな瞬間でもあった。



洋くんに手が届かない、そう言われてるみたいで嫌だ。



「ちぃ!おはよ!」



登校途中、元気な声と共に肩をぽんっと叩かれた。



色白の肌にボブが似合う女の子。



鮎川 莉奈(アユカワ リナ)。



私の大好きな友達だ。



「おはよ莉奈〜」



「後期になっても相変わらず眠そうだね」



私の頰をツンツンとしながら、莉奈は笑う。
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