私の恋した誘拐犯【完】
「ほらキョンタ、豚の真似してないで行くぞ。おまえすぐ迷子になんだから…」



「豚の真似なんてしてねーよ!」



たくちゃんがキョンタの腕を掴んで歩いて行く。



(よかった、たくちゃんはいつも通り)



洋くんも帰るときはいつも通りに戻っていたけれど、なんだか心配。



何も言ってくれないから、考えても私では分からないことだらけだ。



「ちぃ?行かないの?」



「あ、ううん!行くよ!」



ぼーっとする私の顔を覗き込み、莉奈が声をかける。
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