私の恋した誘拐犯【完】
考えても分からないからって、考えるのをやめたくない。



そう思って何度も考えたけど、答えは見つからなかった。



「なにー?また悩み事?」



歩きながら、莉奈は私に問いかける。



やはり私の変化に気づくのは莉奈だ。



「…悩み事というか……、人がさ」



「うん」



みんな先に行ってしまい、誰もいなくなった廊下に私と莉奈の声が響く。



「余裕なくなるときって、どんなときだろう」



「なにそれ、らしくない悩み事」
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