私の恋した誘拐犯【完】
私は「何それ」と笑いながら、莉奈の肩を叩いた。



洋くんはこうやって、私の人生を楽しくさせてくれた。



中学に通わせてくれたし、こうやって高校も通わせてくれている。



だから私も早くバイトをして、洋くんを支えたい。



洋くんは父親から、本屋さんを継いで、今は本屋さんの経営者として働いている。



私は1度、洋くんの仕事先を覗いたことがあった。



本を一冊一冊丁寧に扱ってる姿が、どうしようもなく優しく、切なかったのを覚えている。



テキトーな感情で、本を触ってるわけじゃないことくらい、そんなの顔を見ればすぐ分かった。



なぜ本屋さんを継ごう思ったのか。
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