私の恋した誘拐犯【完】

ましてや特別な関係になることを諦めた分際で、それでも片想いは続けるので教えてくださいなんて。



虫がいいにもほどがある。



「保護者ヅラしてるくせに、女にチヤホヤされて嬉しそうだったからちょっと突っかかっただけだよ」



「そ、なんだ…」



予想外な返答に、返す言葉が見つからず下を向いた。



「なんなのあいつは？女好きなの？千織にも他の女にも同じようにヘラヘラして」



確かに、洋くんはいつも同じ笑顔。



それは私だけに見せる笑顔ではなく、誰にだろうと平等に見せる笑顔だ。



「腹立ったんだよ。うちの子が出てるから来たとか言っといて、本音は女にチヤホヤされたいだけな「洋くんは…そんな人じゃないよ…」



つい口をついて出たのは、たくちゃんを否定する言葉だった。