私の恋した誘拐犯【完】
「ちーちゃん、布団干すからそろそろ起き…って顔!」



次の日の日曜日。



洋くんは私の顔を見るなり声をあげた。



「昨日帰ってきたと思ったらすぐ寝ちゃったから、何かあったのかとは思ってたけど……」



ああもう、何もやる気にならない。



そうやって再び布団に潜り込んだ。



「ちょっとちーちゃん、どうしたの一体…」



布団を剥がし、心配そうに私を見る洋くんにまた涙が溢れてくる。



「ちーちゃん…?」



パンパンに腫れた目で泣かれても、可愛げなんてこれっぽっちもないんだろうけど…



今はそんなこと気にしてる余裕がない。
< 176 / 530 >

この作品をシェア

pagetop