私の恋した誘拐犯【完】
それからどれくらいだろうか。



しばらく泣き続けて、気づいた時には鼻からの息はできなくなっていた。



「それで?…拓巳くんのこと何で怒らせたの?」



「…私が…バカだったから…?」



「いや俺に聞かれても…」



鼻づまりの声と腫れぼったい瞼。



それでも洋くんは、私の目を見て話しを聞こうとしてくれる。



「ちーちゃんが自分をバカだと思う理由は何?」



問われ、私は洋くんの目を見つめ返した。
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