私の恋した誘拐犯【完】
「たくちゃんに恩ばっかりもらって、私は何も返せてないところとか…」



頭で考える前に声になる。



「いつも助けてもらってばっかりだったのに、私は何一つ気遣えてないところとか…」



言葉にすればするほど、それは私の本音だった。



「いつも気にかけてくれてたのに…私は、何も……」



「もういいよ。分かったから」



考えなくても感じてた。



理解しようとしなくても分かってた。



たくちゃんが私に、どれだけ優しくしてくれてたかなんて。
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