私の恋した誘拐犯【完】
誰もが認める、完璧な人なんていない。



誰かに嫌われずに生きられる人なんていない。



洋くんを嫌に思ってしまう1人に、たくちゃんはなっただけなのに。



私が洋くんを好きでいるのは勝手なのに、それを押し付けるような不満をぶつけてしまった。



「ちーちゃんのそういう、自分が悪いって認められるところ本当にすごいと思う」



溜まってしまう涙を拭い、頭を撫でてくれる洋くん。



「ちーちゃんが悪くないとは言わないけど」



「…うん」



「そこまでちーちゃんを怒らせるようなこと言った相手にも、問題はあると思うよ」



ニコッと笑いかけるその顔に、少しの影を感じて恐怖を覚えた。
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