私の恋した誘拐犯【完】
「ちーちゃんだけが悪気を感じることはないってこと。もちろんちーちゃんも悪いけどね」



洋くんの言うことは説得力がある。



それは洋くんが、あくまで客観的に話しを聞いてくれてるからだ。



自暴自棄になってしまいそうな私に、洋くんはいつも手を差し伸べてくれる。



「それで、拓巳くんには何を言われたの?」



ギクッと肩が上がった。



一瞬迷ったが、小さく口を開く。



「…洋くんの、こと」



私の言葉に、案の定洋くんは目を丸くして驚いている。
< 183 / 530 >

この作品をシェア

pagetop