私の恋した誘拐犯【完】
「え、俺…?」



自分を指差す洋くんは、呆れているように見えた。



「くだらないって言うかもしれないけど嫌だった…洋くんのこと悪く言われるのは」



そう、嫌だったのだ。



私ではなく、洋くんのことを言われるのは。



「ちーちゃんって何でそう…」



片手で目を覆い、溜め息をつく洋くん。



やはり、呆れてしまったのだろう。



「…ごめんなさい…」



そう思うと、出てくる言葉はそれしかなかった。
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