私の恋した誘拐犯【完】
気づけば、目の前にはハンバーグが並んでいた。



「帰ってきてからずっとボーッとしてるけど、夕飯は食べてね」



「あ、うん、いただきます」



どれくらいボーッとしていたかすら分からない。



何かを考えていたわけじゃないのに、虚無感のようなものを感じていた。



「あのさちーちゃん」



と、目の前でハンバーグを食べていた洋くんが私を呼ぶ。



何事かとその顔を見上げた。
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